あとがき
 
第2章 猿の仮面

第1章を父と娘の話としたので、第2章は母と子の話にしようと思っていました。
しかし、母心など描けるのだろうか。と考えているときにTVで放映されたのが映画「八日目の蝉」。
まさに母子愛の話なのですが、あまりに壮絶、あまりによくできていて圧倒されました。
第2章を描く最中にハードディスクから3度この映画を作画のBGMとしました。
こんな物語はかけないなあと思いながらも自分なりに挑んでみました。

その後押しになったのは円空さんの存在です。
第2章は昨年11月の円空さんの足跡を訪ねる旅で訪れた地を舞台としました。

実はこの円空さん。壮絶な母子愛のドラマをその人生でたどった人でした。
幼いころに長良川の洪水で母を亡くし、仏の道に入るのですが、12万体の仏像を障害に残し、東北や蝦夷(今の北海道)も旅して災害のあった地なども訪れ、12万体の仏像を彫りあげると、母の命を奪った長良川のほとりに入滅されました。
人生で彫刻をみて泣きそうになったのは円空さんの仏像が初めてです。(詳しくは旅コンテンツに掲載)

碁魔ちゃんと息子の魅佐碁。
聞旦と母猿。
絹姫とその母、また絹姫のお腹にやどった子供。

この3つの母子を描くことでなんとか母と子の愛をつづることができればと挑んだという具合です。

しかしそれにしても碁魔ちゃんのキャラクターはグイグイを物語を引っ張ってくれました。

そんなわけで、めったに実家に帰らずにまさに自由人な生活を送り、ろくに親孝行もしてませんが、この第2章を感謝を込めて実家の母に贈ります。
 
 戻る TOPへ