オリジナル長編マンガ 和んだふるたい夢
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 あとがき
 
第1部 風

第1部のキーワードは
風、猿、そして仇討ちでした。

インドの叙事詩ラーマ・ヤーナで登場する猿は風の神であり、なんとなく風=猿のイメージがあります。
(この猿は西遊記の孫悟空のモデルともいわれています。)
日本で猿の神というと思いつく猿田彦は道開きの神ともいわれていますし、第一部にはふさわしいと思います。

しかし黒猿は強かった。
本当はよってたかって一人の敵を倒すって物語はメチャメチャ嫌いなんですが、今のとんぼの力ではどうしても勝てない。

そして日本各地の昔話を紹介しながら展開していく和夢のコンセプトから考えても、黒猿の倒し方は猿蟹合戦しかありませんでした。

猿蟹合戦では蟹が猿への復讐をするのですが、
蟹は栗と臼と蜂と牛のフンの力を借りて猿を退治します。
和夢の中では蟹が包裏櫨貴ととんぼと瓜姫団の力を借りて仇討ちをしたって感じです。
そして小柿藩の殿の仇討ちが達成された瞬間でもありました。
また、玄さんは顔はがしのおはぎを倒すことで圃稚烏の仇を討ち、また永遠の命を持つ女厄子は黒無垢の女を倒し恋人の順吉の仇討ちを果たしました。

何度も何度も再演される忠臣蔵といい、仇討ちは日本人の心に響きやすいように思います。
それは江戸時代の国家建設にも取り入れられた儒教の影響下もしれません。(儒家の林羅山は家康のブレーンの一人)。
そんな日本人のアイデンティティをつくりあげているファクターにも迫っていこうとした感じがします。

もう一つ、第1部で取り上げたいテーマが無実の罪でした。玄さんは殿殺しの汚名を着せられ、9年越しにそれを晴らすことができました。
子供の頃、最大の不幸はなんだろうと漠然と考えて浮かんだのが「無実の罪」でした。そこで第1部で向き合ってみました。
(そんなことを書いていると引き寄せるのか実際にそのような実体験をすることになってしまったのですが。
それも作品の糧にして・・・)

初めは1話ごとにいろんな村を旅する作品にしようと考えていたのがあれよあれよと物語はまったく違う方向へ流れていきました。
キャラクターの存在感に引っ張られた印象が強いです。おはぎとおこげ、碁魔ちゃんに観水、能面の男に黒猿・・・などなど。

気づけば2年半。
あっという間だった。
物語の展開が降りてくる感覚はまさにワンダフルタイムでした。
素敵な時間を作品と共有していたような夢の時間です。
そしてここまで読んでくれている方々が力の大きな源泉です。本当にありがとうございます。

さてさて夢はまだまだ冷めません。
和夢という夢、第2部。
引き続き、よろしくお願いします。


 
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